「おてんばルル -La vilaine Lulu-」イブ・サンローラン  訳:東野純子

イブ・サンローランの「おてんばルル」の存在は、手持ちの「チープシック」という本に、イブ・サンローランのインタビューとともに載っていて知っていました。

チープ・シック ― お金をかけないでシックに着こなす法 草思社

それが、ちゃんと1冊の絵本として日本で出版されているのを(図書館で)発見!!

おてんばルル
東野 純子
4309268587

びっくりして、早速借りてみた。

感想

ひきつけられる!!おもしろい!!

主人公ルルの性格は、かなりワルです。

友達を棒キャンディーでつってアラブに売りさばいたり、イースターエッグの玉子をわざと全部腐らせて友達に配り、食中毒で皆殺しにしたり(ルルは葬式後もおおはしゃぎ)。かわいくない子供をつれている母親をからかいぬいて、おおはしゃぎした結果、お母さんが子供を捨てる羽目になったり。ルルの殺人もふくめた悪事は数限りないです。

でも、にくめない。

ところで、ルル自身はすごくもてもてなんだけれど、自分が一番心落ち着くのは老人。老人の恋人がたくさんいる。若い恋人ができてもイラついて、老人にもどる。(なんかこの辺の設定もフランスらしい)

ともかく、文字で書いていくとこの上なく残忍なキャラなんだけど、なぜかすごく魅力があります。

そしてそれは、日本語訳をした東野純子さんと、手書き文字担当の東ちなつさんの力も大きいと思いました。イヴ・サンローランが日本人としてこれを見たとしても、満足するんじゃないでしょうか?そのぐらい訳も文字もこの作品にぴったりマッチしています。

あとがきにあった、「おてんばルル」の原題「La vilaine Lulu」についての解説も納得。(「vilaine」とは、”いたずら好きな”という軽い意味のほか、”不快な” ”みだらな” ”下品な”という意味もあるとのこと。)

ルルのする、性的なことも含めた様々な悪事を、『いけないこと』とかわいく訳しているのもぴったりだと思いました。

1956年の創作だというけれど、きっともう100年たっても、くすりと笑ってしまうような色あせない残忍・かわいいお話でした!

図書館の美術関連コーナーがこんなに楽しいとは。。。

新しい発見。

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