「壊れる日本人」柳田 邦夫

壊れる日本人―ケータイ・ネット依存症への告別 (新潮文庫)
柳田 邦男
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携帯が世の中に出てきたころから、とても奇異に映るその携帯に対する依存性。

どこにいても何をしていていも携帯。

この本はレビューを見ると批判が多いけど、あらためて価値を見直す必要のあることがたくさん書かれているように感じて、個人的にはとてもためになった。

ピックアップ

・効率主義によって削ぎ落とされたもの:ゆとりや間や沈黙を大事にする生活と人間関係

・歩かなくなって失ったもの、スピードと効率を求めて失ったものを考える

・便利なものを受け入れると、必ず失うものがある

・「ケセン語訳新約聖書 マタイによる福音書」
・「ケセン語大辞典」

・「心の貧しい人々は、幸いである、天の国はその人たちのものである」→「頼りなぐ、望みなぐ、心細い人ァ幸せだ。神様の懐に抱がさんのァその人達だ」

・「地貌季語」…人に容貌があるように、人が暮らす地域にもその土地ならではの貌(かお)、すなわち「地貌」がある


「科学的な根拠」っていうものについては確かにこの本で得られることはできないけど、最近感じること。

それは、効率化された結果から生み出されるものの、情報量の少なさ。
一番分かりやすい例が文字。PCを介した文字は、意味の伝達のみ。対して手書きの文字は、どれだけの情報量を持っているんだろう。

また別に、情報量の少なさから、自分が生み出す力。「想像」だったり「推理」?だったり。

これだけネットが発達する前は、未知のものがたくさんあって、その不明なものに対して想像することで埋めたりしていた。この「想像」も、自分が生み出すもの。

便利になって効率的になって、目的を達するには上手にやれば最短距離でいける現在。

でも、そういう中で、この「スピードと効率を求めて失ったものを考える」っていう姿勢はかえって重要なんじゃないかと思った。引き換えに失っているものがすごくある。

スピードと効率は一切否定しないけど、それが至上だっていう考えに陥らないこと。

この視点を与えてくれることで意義のある本だった。

本って本当に面白い。ちょっとずつでも読んでいきたい。

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